日常会話で最も重要な4つの「単字」処理動詞

中国語学習は当初、発音が難しく感じるために声調を意識しなければならない一方で、一定程度レベルが上達してくると、中国人が会話中に単字つまり1文字の単語を使って迅速に意味を伝えていることを理解するようになります。

「単字」動詞と言えば、最も代表的なものが「する」と言う意味を持つ做(zuòですが、その他にも物事の処理を意味する動詞の多くが単字で使われ、日常生活のあらゆる場面におけるスピーディなコミュニケーションに大いに役に立っているのです。もちろん、日本人にとっても非常に便利なもので、上手に活用することができれば中国人との交流が桁違いに進みやすくなるでしょう。

しかし、これらの処理動詞は何となく使ってはいても、その本来のニュアンスまでは理解していないことがほとんどのようです。今回は、代表的な「単字」処理動詞について、その使い方を含め、例文も交えて詳しく理解していきます。

日常会話で最も重要な4つの「単字」処理動詞

搞(gǎo

中国人も日常会話で無意識に使うことも多い単語である「」は、冒頭でも触れた「」と同レベルと言えるくらいに処理動詞としては最たるもので、日本語では一般的に「やる」と翻訳されます。

また、「做」と比較するとより能動的な響きをもつことから、動作そのものよりも、それがもたらす結果をより強調して相手に強く感じさせる単語でもあるでしょう。

さらに、「做」がある程度品格を含んだ表現である一方で、「搞」はかなり口語的なニュアンスも持っており、目上の人に対する会話などでは注意しなければならないケースもあるでしょう。

例文:

A:真气死了,小李干嘛还没回来啊。

B:这么忙的时候,他搞什么呢?

A: Zhēnqìsǐ le, xiǎolǐ gànma háiméi huílái a.

B: Zhème máng de shíhòu, tā gǎoshénme ne?

A:本当にイライラするよ。李さんは何でまだ帰ってこないんだ。

B:こんなに忙しいっていうのに、あいつ何やってんだ?

例文:

A:完了,我每次在同样的项目搞不好,这次也不行。

B:你应该改一下做法吧,下次有可能达成。

A: Wán le, wǒ měicì zài tóngyàng de xiàngmù gǎobùhǎo, zhècì yě bùxíng.

B: Nǐ yīnggāi gǎiyīxià zuòfǎ ba, xiàcì yǒukěnéng dáchéng.

A:終わったな。毎回同じ仕事内容でコケちまう、今回もだめだ。

B:ちょっとやり方を変えるべきだよ。次回はおそらくいけるだろう。

 

nòng

次に重要な処理動詞である「」は、日本語では「対処する」や「いじる」「やっつける」と翻訳されることが多く、上述の「搞」よりもさらに具体的であるとともに動作の帰属性さえも明らかにしやすい単語です。

ニュアンス的に言えば、客観的に見て自分の能力的に問題がないと自己判断される場面で使われることも多く、トラブルなどでちょっとした対応すべき場面での会話にも頻出します。

例文:

A:这案子确实复杂,别人做起来非常难搞,你可以吗?

B:好啊,这次还是我来弄一下吧。

A: Zhèànzi quèshí fùzá, biérén zuòqǐlái fēicháng nángǎo, nǐ kěyǐ ma?

B: Hǎo a, zhècì háishì wǒ lái nòngyīxià ba.

A:この案件は確かに複雑だよ。他の人間がやるには非常に難しい。君、できるかい?

B:いいでしょう。今回も僕がいっちょやりますか。

例文:

A:他们产品有很多销路,因为只他们有产品的贩卖权。

B:我们公司应该弄不到手吧,还不如找一下新项目。

A: Tāmen chǎnpǐn yǒu hěnduō xiāolù, yīnwèi zhǐ tāmen yǒu chǎnpǐn de fànmàiquán.

B: Wǒmen gōngsī yīnggāi nòngbúdàoshǒu ba, háibùrú zhǎoyīxià xīnxiàngmù.

A:彼らの製品が販売ルートも多いのは、販売権を彼らだけが持っているからね。

B:僕らの会社ではその権利は手に入れられないはずだし、新しいアイテムを見つけた方がいい。

 

bàn

さて、処理動詞の中でも非常に使い勝手の良いものが「」です。日本語で言えば、「申請する」「手続きする」と翻訳されることも多いですが、基本的なニュアンスが新しいことを始めるイメージを持っていることから、何かのイベントなどを「開催する」際に使われることも少なくありません。

例文:

A:我明年打算去国外旅游,但我不想拿去很多现金。

B:只有现金消费还是不方便,你到时候办一张信用卡就好了。

A: Wǒ míngnián dǎsuàn qù guówàilǚyóu, dàn wǒ bùxiǎng ná qù hěnduō xiànjīn.

B: Zhǐyǒu xiànjīn xiāofèi háishì bùfāngbiàn, nǐ dàoshíhòu bàn yīzhāng xìnyòngkǎ jiù hǎo le.

A:来年海外に旅行に行く予定だけど、現金をあまり多く持って行きたくないんだよね。

B:現金決済だけでは不便だから、今度クレジットカードを作ってみたらいいよ。

例文:

A:最近公司效益非常好,听说老板有什么打算吧。

B:是啊,他好像要在展览会办一个销售活动。

A: Zuìjìn gōngsī xiàoyì fēichánghǎo, tīngshuō lǎobǎn yǒu shénme dǎsuàn ba.

B: Shì a, tā hǎoxiàng yào zài zhǎnlǎnhuì bàn yīgè xiāoshòu huódòng.

A:最近、会社の収益がすごく好調だね。聞いた話だと、社長がまた何か考えているんだって。

B:そうよ。なんでも、交易会で販売会を実施するんだって。

 

gàn

処理動詞の中で最もその扱いに慎重にならなければならないものに、「」が挙げられるでしょう。基本的には、「搞」と似たニュアンスを持っており、日本語でも「やる」と翻訳されることも多いですが、より感情的な意味合いを持ちやすいのも特徴です。

「干」は物事や業務などを実行する意味にも一般的に使われますが、上記の「やる」という意味合いで他者を攻撃する場合にも用いられることから、語気によっては会話する相手と深刻な摩擦を生み出してしまうこともあるでしょう。

これにより、「干」は、初級学習者であれば会話上での積極的な使用は推奨されず、固定の慣用句に使用を限定するか、使用環境をあらかじめ理解しておかなければなりません。

例文:

A:你这么着急,到底干什么呢?

B:很烦,我明天要给教授资料,还没做到一半了。

A: Nǐ zhème zhāojí, dàodǐ gànshénme ne?

B: Hěnfán, wǒ míngtiān yào gěi jiàoshòu zīliào, háiméi zuòdào yībàn le.

A:君、そんなに焦って、いったい何やってるんだ?

B:すごく頭が痛いよ。明日、教授に資料を提出しなければならないのに、まだ半分もできていない。

例文:

A:公司最近被裁员的非常多,我们也以后不知道怎么样。

B:现在真的经济不景气,很多企业没有订单就没有干活了。

A: Gōngsī zuìjìn bèicáiyuán de fēicháng duō, wǒmen yě yǐhòu bùzhīdào zěnmeyàng.

B: Xiànzài zhēnde jīngjì bùjǐngqì, hěnduō qǐyè méiyǒu dìngdān jiù méiyǒu gàn huó le.

A:会社は最近リストラされる人もすごく多いね。僕達だって今後は分かったものではないよ。

B:今は本当の経済も不景気だしな。多くの企業は注文が来ないと仕事がなくなってしまう。

 

使えると会話が広がる2つの「単字」処理動詞

この「」という単語には1つの場所で何かを「打つ」イメージがありますが、単純な処理動詞を超えて、さまざまなニュアンスを持つ言葉へと変化します。その中で、「開く」「始める」と翻訳されることは非常に多く、「製造する」や「電話をする」と言う意味にも使われるでしょう。

また、日本語への翻訳を進める場合、上述の「打つ」と言うイメージが全く感じられないほどに上手く翻訳しなければならないケースが多いことも、この単語の特徴です。

例文:

A:今天真不容易,我们的计划终于行得通了。

B:蛮开心哦,这次我们一定会打造未有的成绩吧。

A: Jīntiān zhēn bùróngyì, wǒmen de jìhuà zhōngyú xíngdétōng le.

B: Mánkāixīn ó, zhècì wǒmen yīdìng huì dǎzào wèiyǒu de chéngjī ba.

A:今日を迎えるには本当に簡単ではなかったけど、遂にプロジェクトを実行できるんだ。

B:すごく嬉しいよ。今回、必ず誰も見たこともないほどの業績を上げて見せようぜ。

例文:

A:我们明天住那家酒店呢,能否当天晚一点登记呢?

B:那我们跟酒店打听一下吧。

A: Wǒmen míngtiān zhù nàjiā jiǔdiàn ne, néngfǒu dàngtiān wǎnyīdiǎn dēngjì ne?

B: Nà wǒmen gēn jiǔdiàn dǎtīng yīxià ba.

A:明日泊まる、あのホテルって、遅い時間でもチェックインできるのかな?

B:じゃあ、ホテルにちょっと尋ねてみようよ。

例文:

A:营业部一直催我们早点做好推给客户的资料。

B:是哦,那么我们赶快打样品吧。

A: Yíngyèbù yīzhí cuī wǒmen zǎodiǎn zuòhǎo tuīgěi kèhù de zīliào.

B: Shì ó, nàme wǒmen gǎnkuài dǎ yàngpǐn ba.

A:営業部から、お客さん向けの資料を早く作れって、ずっと急かされているんだけど。

B:そうなんだ。じゃあ、サンプルを早く作ろうよ。

 

bǎi

処理動詞としての性質を持つ動詞の中でも、ちょっと理解しにくく感じるのが「」かもしれません。基本的なイメージは、第三者の立場で「物を振り分ける」ことにあり、そこから「陳列する」「並べて置く」と言う代表的な意味がありますが、同時に「公平に取り扱う」と言う意味に派生することも多いでしょう。

また、基本的なイメージから、手などを物理的に「振る」と言う意味もあり、同時に演出するという意味での「振りをする」という場合にも使われることから、処理動詞としては意外に多くの場面で役に立っています。

例文:

A:主任,好像新来的几个员工相处的不太好,有什么好办法呢?

B:没关系,在这方面我最拿手的,我来摆平一下。

A: Zhǔrèn, hǎoxiàng xīnlái de jǐgè yuángōng xiāngchǔ de bútàihǎo, yǒu shénme hǎobànfǎ ne?

B: Méiguānxì, zài zhèfāngmiàn wǒ zuìnáshǒu de, wǒ lái bǎipíng yīxià.

A:主任、新しく入ったスタッフ同士、そりが悪いようで、何かいい方法ないですか?

B:心配するな。こういうのは、私の一番の得意分野だ。ちょっと上手くまとめようか。

例文:

A:我们客户的公司老板很讨厌,每次看不起我们差不多。

B:对啊,那个人态度高傲,老是摆架子。

A: Wǒmen kèhù de gōngsī lǎobǎn hěntǎoyàn, měicì kànbùqǐ wǒmen chàbùduō.

B: Duì a, nàgèrén tàidù gāo’ào, lǎoshì bǎijiàzi.

A:顧客の会社の社長ってすごく嫌な感じね。毎回私たちを見下しているみたい。

B:そうだね。あの人って態度も傲慢だし、いつも気取っているから。

 

まとめ

今回ご紹介した「単字」の処理動詞は、ごく一般的なものですが、蓄積されているボキャブラリーが多くなかったとしても、伝えたい内容を的確に伝えるためにとても役に立ちます。

ただ、それぞれ触れたように話し方や相手との距離感をきちんと把握していなければ、会話を通して相手に与える印象が全く異なっていくのも事実です。すでにニュアンスを理解している中級以上の学習者は、この点を再度しっかりと押さえておきましょう。

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編集:アーキ・ヴォイス外国語スクール

 

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