中国語の初学者の立場からすると、できるだけすぐにスマートに会話を進めたいと思いながらも、多くの方は語彙力の乏しい状況では非常に厳しいのではないかと感じるかもしれません。しかし、中国人の日常会話では複雑な言葉は使わずとも、非常に簡単にスマートに表現を実現できているのです。
この中でも、疑問詞を上手に組み合わせることで会話の内容が良い響きで伝わることや、時には、お洒落な言い回しだと認識してもらえることもあります。今回は、数ある疑問詞を組みわせた慣用句のなかでも、特に理解しておくべきものをピックアップして紹介しましょう。
代表的な「怎么」を使った疑問詞慣用句
疑問詞慣用句のうち、「怎么」を組み合わせたものは会話中に多用され、物事を的確に伝えられることでも知られています。また、会話のレスポンスとしてもとても役に立ってくれるので、1つの形として覚えるだけでも会話に有利です。
不怎么样(bùzěnmeyàng)
基本的に、「怎么样」は状態を尋ねる疑問表現であることから、「不」という否定字が前に置かれることで、ここでは「あまり良くない」という意味になります。しかし、環境によっては「良くも悪くもない」というニュアンスで言われることもあり、学習していくうちに微妙なニュアンスを掴んでいくことも必要になってくるでしょう。
また、会話の相手によっては、「没怎么样(méizěnmeyàng)」と返答されるケースもありますが、意味としてはほぼ一緒と認識してもかまいません。
又怎么样?(yòu zěnmeyàng?)
次に、「だからどうした?」と言う表現。基本は事前に何らかの会話内容が存在し、それに対して自分の実感をダイレクトに伝える表現です。自分にとって重要ではないことや、無関心な内容などに対する感想の一言として頻繁に使われます。
例文:
A:你今天打扮太随便了吧。
B:哎哟,又怎么样呢?反正老板也不来嘛。
A: Nǐ jīntiān dǎbàn tàisuíbiàn le ba.
B: Āiyō, yòu zěnmeyàng ne? Fǎnzhèng lǎobǎn yě bùlái ma.
A:お前、今日の格好、カジュアルすぎるだろ。
B:ああ、だからどうした?どうせ、社長も来ないのだから。
没要跟你怎么样(méiyào gēnnǐ zěnmeyàng)
この表現は相手との人間関係を表す場合によく使われ、「君とどうなりたいわけではない」という意味合いを持ち、男女の関係においてもよく耳にする表現です。
また、「不会跟你怎么样(búhuì gēnnǐ zěnmeyàng)」という言い方もよく使われ、長々と単語を並べて説明するよりも確実に相手に理解してもらえるでしょう。
例文:
A:她最近好像管我很多,到底对我什么意思?
B:我看她也没要跟你怎么样呢,只是担心你哦。
A: Tā zuìjìn hǎoxiàng guǎn wǒ hěnduō, dàodǐ duìwǒ shénme yìsi?
B: Wǒ kàn tā yě méiyào gēnnǐ zěnmeyàng ne, zhǐshì dānxīn nǐ ó.
A:彼女は最近私にあれこれ注文つけてくるけど、いったい私にどういうつもりなのかしら?
B:僕が思うに、彼女だって、君とどうするというつもりはないよ。ただ、君が心配なだけさ。
再怎么样(zàizěnmeyàng)
一旦確定してまった結果、特に悪い内容である場合、それに対して何らかの修正や措置をする場合などに使われる表現です。
翻訳すると、「次にどのようにしても/引き続き何をしても~」という言い回しになりますが、性質上、予想できる結果を後の文章に続けることで成立する慣用句だと言えます。
例文:
A:长官最后还是不同意我们的提案,我们有什么改好才他可以呢?
B:我看再怎么样也还是不好做吧。
A: Zhǎngguān zuìhòu háishì bùtóngyì wǒmen de tí’àn, wǒmen yǒu shénme gǎihǎo cái tā kěyǐ ne?
B: Wǒ kàn zàizěnmeyàng yě háishì bùhǎozuò ba.
A:上司は結局やっぱり俺たちの提案に賛成しなかったけど、どう修正すればOKもらえるのだろうか?
B:どうも、引き続き何やってもやっぱり無理そうだな。
怎么样就怎么样(zěnmeyàng jiù zěnmeyàng)
日本人も日本語でよく使う表現であり、「なるようにしかならない」とか「何であれ仕方がない」という意味を表します。どういう結果であっても受け入れるという気持ちを示すもので、仕事でもプライベートでも使う機会が大変多いことから、真っ先に覚えていきたい表現かもしれません。
例文:
A:我昨天跟女朋友分手了,不知道为什么呢,有点沮丧了。
B:一切都怎么样就怎么样啊,你也不要多想。
A: Wǒ zuótiān gēn nǚpéngyǒu fēnshǒule, bùzhīdào wèishéme ne, yǒudiǎn jǔsàng le.
B: Yīqiè dōu zěnmeyàng jiù zěnmeyàng a, nǐ yě búyào duōxiǎng.
A:昨日、彼女と別れちゃったよ。なんでかなぁ、ちょっとがっかりしたよ。
B:すべてはなるようにしかならないさ。お前も深く考えるなよ。
怎么好意思(zěnme hǎoyìsi)
この表現は日本語では少し分かりにくいですが、一般的に礼儀や恩義をわきまえない人に使われることが多く、例えば「どの顔で~」とか「何でそんなに図々しく~」という表現にするとより自然に聞こえるでしょう。
例文:
A:听说小陈没有答应了跟薛小姐约会。
B:小陈自己不好看又理想高,他怎么好意思这样对待她。
A: Tīngshuō xiǎochén méiyǒu dāyìng le gēn xuēxiǎojiě yuēhuì.
B: Xiǎochén zìjǐ bùhǎokàn yòu lǐxiǎng gāo, tā zěnme hǎoyìsi zhèyàng duìdài tā.
A:聞いたところによると、陳くんは薛さんとのデートにOKしなかったらしいね。
B:陳くんは自分がブサイクなくせに理想は高い。どの顔で彼女に向き合っているんだよ。
怎么会(zěnmehuì)
これも日本人には一番覚えやすい疑問詞慣用句です。直訳すると、「どうやるって言うんだ?」という感じになりますが、単体で受け応えにおいて用いられると「あり得ないんじゃない?」「そんなことある訳ないだろ」というニュアンスが含まれることも多く、相手からの反応や特定の事実・結果に対し、意外な感想を表す場合に使います。
例文:
A:这次客户好像对我们的新产品不满意。
B:怎么会呢?我们质量本来就好好的嘛。
A: Zhècì kèhù hǎoxiàng duì wǒmen de xīnchǎnpǐn bùmǎnyì.
B: Zěnmehuì ne? Wǒmen zhìliàng běnlái jiù hǎohǎode ma.
A:今回、お客さんは僕らの新製品に不満らしいよ。
B:あり得ないだろ。俺らの品質は元から良いじゃないか。
その他の疑問詞慣用句
好什么(hǎoshénme)
通常、特定のものが良いものであると勧められ、それに対して否定的な意見をする場合のストレートな表現です。表題では「好」を使っていますが、実際は他の形容詞でも使うことができ、例えば、「厉害什么」「漂亮什么」などと表現される場合もあるでしょう。
例文:
A:他们家用的东西很好,我们也买一下吧。
B:好什么呢?我看还是我们家用的比较好。
A: Tāmen jiāyòng de dōngxī hěnhǎo, wǒmen yě mǎiyīxià ba.
B: Hǎoshénme ne? Wǒ kàn háishì wǒmen jiāyòng de bǐjiàohǎo.
A:彼らが家で使っているものはとてもいいね。うちでも買おうよ。
B:何がいいんだよ?僕は、うちで使っているものの方がもっと良いけどな。
谁叫你做(shéi jiào nǐ zuò)
疑問詞を使った慣用句の中でも非常に面白いのがこの表現。相手が非常に悪い結果を出した場合や不本意な状況に陥った場合、それを遠回しに咎めることや、時には慰めたり、ショックを和らげたりすることにも使えます。
直着すると「誰が君にさせた」となりますが、原因が本人にあることが明らかでも、時として、あえて誰かにさせられたと表現することで「そういう運命だった」と認識させられる効果的な言い方でもあるのです。
例文:
A:妈,真不好意思,我在这次期中考,考得非常不好。
B:谁叫你做得这么糟糕的。
A: Mā, zhēnbùhǎoyìsi, wǒ zài zhècì qízhōngkǎo, kǎo dé fēicháng bùhǎo.
B: Shéi jiào nǐ zuò dé zhème zāogāo de.
A:お母さん、本当にごめんさない。中間試験は結果がとても悪かったよ。
B:誰があんたにそんな点を取らせたのかしらね。
好不到哪里去(hǎobúdào nǎlǐqù)
さて、上述の「再怎么样」でも触れた仕事などで悪い結果を出してしまったケースの場合、タイミングによっては修正してもどうしようもないほど悪いレベルの時もあります。その場合は、この慣用句を使って「良くはならない」「良い方向には向かわない」という意味合いで表現することもできるのです。
例文:
A:小丁,她把那位客户的头发弄不好了,结果客户生气哦。
B:怎么办呢,我看她头发再弄好一点也绝对好不到哪里去。
A: Xiǎodīng, tā bǎ nàwèi kèhù de tóufǎ nòngbùhǎo le, jiéguǒ kèhù shēngqì ó.
B: Zěnmebàn ne, wǒ kàn tā tóufǎ zài nònghǎoyīdiǎn yě juéduì hǎobúdào nǎlǐ qù.
A:丁くん、彼女があのお客さんの髪の毛を切り間違って、お客さんが怒っているよ。
B:どうするのかな。あの髪の毛を今から整えても、絶対に良くならないと思うけど。
まとめ
今回ご紹介した言い回しは非常に単純な表現でありながら、実際の会話ではタイムリーに自分の口から出てこない場合もあります。会話できる相手が現実的に少ない環境では、コミュニケーション力も身に着きにくいものの、自分なりのシミュレーションを進めることができれば問題なく改善できるでしょう。
中国語に限らず、外国語の学習においては単語力を伸ばすことも重要ですが、むしろ簡単な語彙で確実にスムーズに相手に意思を正確に伝えることを目指さなければなりません。そういう意味では、疑問詞を組み合わせた言い回しはその入門編と言えるものなのです。
====
編集:アーキ・ヴォイス外国語スクール
<京都校体験レッスンはこちら>
<オンライン体験レッスンはこちら>
<メルマガご登録はこちら>